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近年、中高年に多い病気のひとつとして注目されているものに睡眠時無呼吸症候群があります。文字通り、眠っているときに無呼吸になる病気でSAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれています。
SASの症状は昼間の異常な眠気以外に、大きないびき、同居している家族の方が気づく10秒以上続く睡眠中の呼吸停止、起床時の頭重感や頭痛などがあります。大きないびきをかき、いびきが突然止まると同時に呼吸も一時的に止まります。そして、大きないびきとともに呼吸が再開します。そのため深い睡眠がとれず、熟睡感が少なくなります。
この病気は寝ている間にのどの部分が頻繁に塞がってしまうもので、中高年の肥満男性によくみられます。肥満の方はそうでない方に比べて気道が狭く、仰向けに寝ると舌の付け根がのどを塞いでさらに狭くなってしまいます。
この病気が重大なものとして問題視されている理由は、高血圧や糖尿病、心臓病、脳血管疾患などに密接に関係しているからです。
SASにかかっている方では、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を合併している割合が多くみられます。SASは肥満の方に多いので高血圧になりやすいと想像している方も多いかもしれませんが、同じ体重の人の比べてもSASの方のほうが高血圧になりやすいといわれています。
SASの合併症は高血圧だけではありません。狭心症・心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの割合も増えるという報告もあります。
また、睡眠中も血圧が高い方が多く、日中もひきずられて血圧は高いまま推移します。交感神経の緊張から脈が速くなることから、心臓や脳への負担が増してしまいます。
まずは生活習慣の改善が重要です。肥満を伴う場合は減量が必須です。舌根が沈み込んで気道を防ぐのを防ぐために、仰向けよりも横向きで寝ると有効です。また、不眠のために就寝前に飲酒すると、気道の筋肉が緩み、余計に気道を狭くしてしまうので避けましょう。
SASはしっかり治療すると無呼吸がなくなり、生活習慣病や眠気などの症状もきちんとコントロールできます。しかし、なかなか気がつきにくい、いびきをかく程度で受診するのが恥ずかしいという理由などで、まだまだ治療を受けている方が少ないのが現状です。