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主ながん

肺がん

日本人の死因の第1位はがんであり、その中で最も多いのが肺がんです。 肺がんにかかる人は40歳代後半から増加し、年齢が高くなるほど多くなります。
 肺がんの死亡数が多い原因としては、がんが進行した状態で発見されることが多く、また、他の臓器に転移しやすいため、治療成績が上がらないことが挙げられます。日本の喫煙率が欧米と比べ高いことや、今後さらに高齢化が進むことを考えると、肺がんで亡くなる人はこれからますます増えていくと予想されます。
 肺がんは、発生した部位によって、肺の入り口付近の太い気管支にできる「中心型(肺門型)」と、太い気管から離れた末梢の細い気管支、肺胞などの肺の端のほうにできる「末梢型(肺野型)」の二つに分けられます。「中心型」肺がんの発生には喫煙が大きく影響します。また比較的早い時期から咳、血痰などの症状が現れるのが特徴です。「末梢型」は非喫煙者にも多く見られ、かなり進行するまで自覚症状はほとんど出ないのが特徴です。

 

肺がん検診
 肺がん検診は胸部エックス線検査です。ただし、長期間タバコをたくさん吸った人は、喀痰細胞診(痰を取って、含まれる肺の細胞を顕微鏡で調べる検査)を併せて行います。
 胸部エックス線検査は「末梢型」の肺がんを発見するのに優れています。「中心型」の肺がんは早期のうちから痰の中に剥がれたがん細胞が見られることが多いため、喀痰細胞診でがん細胞の有無を検査します。
検診では、これまでかかった病気や、家族歴(血縁者で肺がんになった人の有無)についてお聞きしますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
 医師の指示がある場合には(タバコの本数、喫煙年数が多い)、胸部エックス線検査と併せて、喀痰細胞診を受けて下さい。

 

肺がんの予防方法
肺がんにかからないようにすることとして最も重要なことは、タバコを吸わないことです。喫煙については、がんのリスクファクターの項で触れましたが、タバコを吸っている人は、タバコをやめることにより肺がんの危険性を減らすことができます。禁煙後10年で肺がんの危険性は50~30%まで減少します。
  また、「末梢型」の肺がんは、進行するまで症状が出ませんし、「中心型」の場合は、比較的早期に症状が出ますが、咳や痰など、カゼや喫煙に伴う症状と区別がつきにくいものです。症状の有無に関わらず、男女ともに、40歳以上の人は年1回肺がん検診を受けることをお勧めします。

 

胃がん

胃がんは、胃の粘膜にできる悪性腫瘍(悪性のできもの)です。胃の壁は内側から、大きく分けて粘膜層と筋層からできています。がんが粘膜にとどまっているものを「早期胃がん」、がんが筋層以上に深く進んだものを「進行胃がん」と呼んでいます。
  50歳代後半から60歳代の男性に多く見られますが、最近では検査・治療の進歩により、死亡率はここ数年、減少傾向にあります。
  早期の胃がんは無症状のこともありますが、進行胃がんになると、食欲不振が進み、衰弱が目立ち、おなかが張る、胃が痛む、血を吐く(血液は胃液でコーヒー色に変化することもあります)、下血(肛門から出血すること、血液は胃液で黒くなり、便も黒くなります)などの症状が現れるようになります。

 

胃がん検診
 現在、最も一般的な胃がん検診の方法は、バリウムと胃をふくらませる発泡剤を飲みエックス線を撮り胃の大きさや形、胃壁の変化などを観察する胃部エックス線検査です。
 早期胃がんの5年生存率(診断から5年後に生存している割合)は90%以上で、現在は早期発見・早期治療により治る可能性の高いがんになりました。日本で発見される胃がんの半数は早期がんですが、胃がん検診を受けることで約70%が早期がんで発見されます。2cmまでの大きさの早期がんで発見できれば、内視鏡治療が可能な場合があります。お腹を切る必要もなく、胃の大きさも変わりませんので、後遺症はほとんどありません。
 前日の夕食後、食事を取ることはできません。検査当日は飲み物だけでなく、タバコ、ガムなども避けてください。
 胃部エックス線検査は、バリウムと胃をふくらませる発泡剤を飲んで胃の中の粘膜を観察する検査です。検査中はゲップを出さないように注意し、バリウムを飲むときは気管に入り込まないように焦らずに飲んで下さい。検査後は、便秘にならないように、下剤を服用して、水分をやや多めに取るように心がけましょう。

 

胃がんの予防方法
 胃がんにかからないようにするには、危険因子(喫煙、塩分を多くとる)を避けることが大切です。つまり、タバコを吸わないこと、塩分をとりすぎないことなどで、胃がん発生の予防に役立ちます。
 胃がんの予防には、危険因子を避けるとともに、野菜を増やしてバランスよく栄養をとるなど、生活習慣について感心を持つことも大切です。
 また、胃がんは、早期発見、早期治療によって、90%以上の人が治るといわれています。予防のためには胃がん検診をうけることがとても大切です。男女ともに40歳以上は年に1回、胃がん検診をうけましょう。

 

大腸がん

大腸がんは、男女ともに日本人に増えているがんのひとつで、50歳過ぎから増加しはじめ、高齢になればなるほど多くなるのが特徴です。
 大腸がんは大腸粘膜からできる悪性腫瘍(悪性のできもの)で、発生部位によって上行結腸がん、横行結腸がん、下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がんなどに分けられます。がんの発生した部位によって、手術方法や手術後の生活の仕方が異なることがあります。また、大腸がんの60~70%は大腸の左半分にあたるS状結腸から直腸に発生しますが、最近では右半分にあたる上行結腸がんも増加傾向にあります。
  大腸がんの症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(肛門から出血する)、便通異常(便秘、下痢、便秘と下痢を繰り返す)、便柱狭小(便が細くなる)、残便感(便が出きらない感じ)、腹痛、腹部膨満感、腹部のしこり、貧血、吐き気などがありますが、これらはいずれも進行がんの症状であり、早期の大腸がんには、ほとんど症状はありません。

 

大腸がん検診
 大腸がん検診は、無症状の段階でがん、またはがんの疑いのある人を見つけ出すことが目的であり、その方法として便潜血検査が、簡単で有効な検査法とされています。便潜血検査は、便ががんやポリープなどの表面と接触することによってできた、目に見えない出血の有無を調べます。
 大腸がんは、他のがんに比べると治しやすいがんです。早期がんの段階で発見・治療すれば、治療後の経過(予後)は良好で5年生存率(診断から5年後に生存している割合)は90%以上といわれています。ポリープ内にごく早期の大腸がんがある場合には、内視鏡を見ながらポリープを切除するだけで完治することもあります。最近では早期がんでは、お腹を切らずに小さな穴を開けるだけで大腸が切除できる腹腔鏡手術も行われています。
検診では、これまでかかった病気や、家族歴(血縁者で大腸がんになった人の有無)についてお聞きしますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
  痔で出血している時や月経のときは、便潜血検査が陽性になってしまうことがありますので、採便を控えてください。
  また、正確な検査を行うために、採便後の保管は冷暗所(冷蔵庫等)で行い、保存期間(採便から検査受付までの日数)はできるだけ短めにしてください。

 

子宮頸がん

子宮がんには膣に近い細い部分(頸部)にできる「子宮頸がん」と胎児を育てる奥の部分(体部)にできる「子宮体がん」とがありますが、ここでは子宮頸がんについて取り上げます。ここ数年、20歳代、30歳代の若い世代の子宮頸がんが増えています。早期発見と早期治療により、子宮を残し、妊娠や出産にも影響がない状態で治療することができます。
 子宮頸がんには細胞の種類によって、「扁平上皮がん」と「腺がん」の2種類があり、90%以上が扁平上皮がんです。扁平上皮がんの多くは、前がん病変(正常細胞から変化し、がんになる前の状態:異形成)から「上皮内がん」、「浸潤(がんがまわりに広がっていくこと)がん」へと進行していきます。
  子宮頸がんは早期のうちはほとんど無症状で、進行するにつれて月経以外の出血(不正出血)や性交時の出血、おりものの変化、腰痛、腹痛などが現れるようになります。

 

子宮がん検診
 子宮頸がんは、早期に発見すれば治すことが可能ながんです。20歳になったら、2年に1回の子宮がん検診を受診しましょう。検診を継続受診することが、子宮頸がんの予防には重要です。
 子宮がん検診では、問診、視診、子宮の細胞診と内診を行います。
 子宮がん検診で行っている「細胞診検査」は、子宮頸部から専用のブラシや綿棒などで細胞をこすり取り、ガラスに塗って顕微鏡で調べる検査です。初期の変化である異形成や上皮内がんの段階での発見が可能で、早期治療をすることにより、ほぼ100%子宮を残すことができます。
 問診では妊娠・出産状況、最終月経、閉経後の人には閉経年齢、自覚症状の有無、検診受診状況などをお聞きしますのであらかじめ準備しておくとよいでしょう。視診ではクスコ(膣鏡)という器具を挿入したり、細胞診検査では専用の器具で粘膜をこすったりしますが、ほとんど痛みはありませんので緊張せずにリラックスして受けましょう。月経のある人は、その時期は避けたほうがよいでしょう。

 

乳がん

乳房には乳腺がたくさんあり、乳がんは、この乳腺にできる悪性腫瘍(悪性のできもの)です。約90%は乳管(母乳の通り道となる管)から発生する「乳管がん」で、約5%が小葉(母乳を作る場所)から発生する「小葉がん」です。
  乳がんは、高齢になるほど増加する他のがんとは異なり、45歳から50歳代の比較的若い世代に多いことが特徴で、近年急増しています。
 乳がんが乳管や小葉の中にとどまっている状態を「非浸潤がん」と呼び、この段階であれば転移や再発する危険はほとんどありません。一方、がん細胞が乳管や小葉を越えて周りの組織に広がったものを「浸潤がん」と呼び、転移や再発の危険性を伴います。しこりとして触れる乳がんの多くは「浸潤がん」です。

 

乳がん検診
 乳がん検診では、問診、視触診、乳房エックス線検査を行います。
 「乳がん=しこり」と思われていますが、転移・再発の危険のない「非浸潤がん」はしこりとして触れません。非浸潤がんで見つかれば10年生存率(診断から10年後に生存している割合)はほぼ100%、「しこりが2cm以下でリンパ節転移のないもの」と定義される早期がんでは10年生存率は約90%です。
  触ってわかるしこりを探す「視触診(見て触る)検診」だけでは不十分で、非浸潤がんの発見には乳房をはさみ込んでエックス線撮影する「マンモグラフィ」による検診が重要です。
 検診では、初潮年齢、最終月経、出産・授乳歴、閉経後の人は閉経年齢、家族内に乳がんの人がいるかをお聞きしますので、確認しておきましょう。
 マンモグラフィによる検診は乳房が張っているときには痛みを感じやすいので、月経前の張りやすい時期を避けて、月経終了後の比較的張りの少ない時期に受けるとよいでしょう。

 

乳がんの自己検診法

月に1度、自分の覚えやすい日に乳房をチェックする習慣をつけましょう。

○目で確認○

まずは鏡の前で、腕を上げ下げしながら、乳房にくぼみやひきつれ、左右の非対称がないか、また乳頭にも、くぼみやただれがないか、目で確認します。

○しこりを探す○

次に4本の指をそろえ、その指の腹で乳房を優しくなでて、しこりがないか、また乳頭をつまんで分泌物がないかを調べます。入浴の際に、手にせっけんをつけて行うと、しこりの有無がよりわかりやすくなります。また、乳房の大きい人は、あおむけに寝て行う方がわかりやすいでしょう。

○乳房の上部外側に注意○

乳がんは、特に乳房の上部外側からわきの下にかけてできやすいので、念入りにチェックしましょう。

 

Dr.池田義雄 健康長寿のための肥満・糖尿病セルフコントロール 健康ダイヤルとは 無料プレゼント 主な生活習慣病 予防・改善 リンク集