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ポジティブ心理学の登場

人のポジティブな側面を伸ばす

 ポジティブ感情と健康の関係が注目され、研究が進むきっかけの1つになったのが「ポジティブ心理学」の登場です。ポジティブ心理学は、1998年に心理学者マーティン・セリグマン博士が提唱した心理学の新しい分野です。
 ポジティブ心理学と聞くと、何事もとにかく前向きに考える「ポジティブ思考」と混同・誤解されがちですが、同じものではありません。ポジティブ心理学は、ポジティブ感情もネガティブ感情も含めて、あらゆる感情を受け入れることが大切だと考え、「幸せ」や「心身ともに健康な生き方」を手に入れるために、心理学の何ができるのかを科学的に研究しようという学問です。
 これまでの心理学は、主に「無気力」や「うつ」などのネガティブな側面を解消することに焦点が当てられていましたが、ポジティブ心理学では人の持つポジティブな側面に焦点を当て、そこを伸ばしていくことの重要性を説いています。
 セリグマン氏は、「人は弱点を補うだけでは幸せにはなれない。自分自身のマイナス5の部分をマイナス3にするための方法をあれこれと考えるよりも、プラス2の部分をプラス7にステップアップする方法を考えた方が、人は幸せになれる」と述べており、この言葉こそがポジティブ心理学の目的や特徴を的確に表しているといえるでしょう。つまり、ネガティブとポジティブの両方に光を当てた点がポジティブ心理学の功績なのです。


3つの良いこと

 それでは、ポジティブ感情を高め、幸福感を得るためにはどうしたら良いのでしょうか?その方法についいては様々なものがありますが、ここではポジティブ心理学に取り組む研究者たちが口を揃えて効果があるとしている「3つの良いこと」という方法を紹介します。
 その方法は、文字通り、1日の終わりにその日の「良かったこと」を3つ、日記などに記録するだけです。内容はどんな小さなことでも構いません。例えば、朝スッキリ目が覚めた、今日はいつもより仕事に集中できた、初めて行ったお店のランチが美味しかった、帰宅途中に可愛い猫を見かけたなど、些細なことでも「嬉しかった」、「楽しかった」、「幸せに感じた」など、ポジティブな感情が湧き上がった出来事を3つ書き出します。セリグマン氏の研究によると、この方法を1週間行ったところ、幸福感が増大するだけでなく抑うつ症状も軽減し、しかもその効果が6カ月間も継続したという結果が出ています。
 ポイントは、就寝前などの「1日の終わりに行う」という点にあります。人は、1日の終わりにその日を振り返る時、悪い出来事に焦点を当てる傾向(ネガティビティ・バイアス)があります。しかし、1日の終わりに良い出来事を振り返る習慣を身に付けると、小さな幸せにも気づくようになり、幸福感が高まるというわけです。
 「卵が先か、ニワトリが先か」という議論に似ていますが、「健康だから幸せ」はもちろんのこと、「幸せだから健康」であることを実証する研究結果が続々と公表されています。ストレスや不安を抱えやすい時代ですが、ポジティブ心理学の視点を参考にして幸福感を高め、その幸福感を健康に繋げていきましょう。


Dr.池田義雄 健康長寿のための肥満・糖尿病セルフコントロール 健康ダイヤルとは 無料プレゼント 主な生活習慣病 予防・改善 リンク集